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森づくりコーディネーター

Interview:森づくりコーディネーター✕企業

interview 07 コーディネーター

里山保全活動で社員のリフレッシュ、コミュニケーションづくり、地域貢献も。

川崎市 建設緑政局 緑政部 みどり・多摩川協働推進課 協働推進担当 
飯田 珠実 さん

10年超にわたり「脱落なし」。川崎市の里山保全管理協定

どんな仕事をされていますか。

飯田:川崎市建設緑政局緑政部で、公園緑地で活動しているボランティアさんを支援する制度の運用や、仕組みの構築などが主な仕事です。その中で、CSR活動として参画してくださる企業さんの活動場所や内容の調整を行なっています。私は入庁以来この仕事に携わっており、現在3年目になります。

学生時代に都市計画などを学んだので、はじめは公園設計や維持管理などの部署に配属されるかと思っていました。ソフトの部分で企業さんとやり取りする、という風なことは想定していなかったのですが、やってみると楽しいと思うようになりました。今は現場に出ることが多く、現場でしか得られない声、たとえば企業さんが考えていることや、ボランティアさんがなぜその活動を始めたのかなど、そういったお話を聞いて学ぶことが多いです。

お話しを伺った飯田さん

「かわさき里山コラボ」について教えてください。

飯田:川崎市が所有する里山の保全管理活動を、企業さんに参加・協力いただいて協働で進めています。どのように進めているかと言いますと、まず企業さんから市にお問い合わせがあります。そこで企業さんのご希望を具体的に伺います。場所はアクセスしやすいところが良いからこの辺りとか、緑地でどんなことをしたいとか、よく聞き取ってご希望に見合う場所をいくつか見つくろい、提案します。そして実際に現場を見ていただいて擦り合わせをし、場所のマッチングをします。「こんな活動もできます」という説明や提案も川崎市が行います。

企業さんにお声がけいただいてから協定を結ぶまでには、大体1年はかかります。川崎市は「緑の保全及び緑化の推進に関する条例」により、保全管理計画を市が作成することになっているので、場所が決まると環境調査を行い、緑地の植生などを調べて、それに基づいて方針を決め保全管理計画を作成。内容を検討後、「里山保全活動に関する協定」に漕ぎ着けます。協定は、従来は企業さんと川崎市の二者協定でしたが、まいばすけっとさんの場合は公益財団法人かながわトラストみどり財団も加わり三者協定となりました。

川崎市が最初に企業と協定を交わしたのは平成25年。以来、約5年ごとに協定内容を見直して更新していますが、今のところ脱落された企業はありません。これまでに協定を交わした企業は(予定を含め)9社で、ここ2,3年で増えています。もともと市内の企業さんから「かわさき里山コラボ」(※1)が始まって徐々に幅が広がり、10年超を経て一歩前に進んだのかなと思います。

※1 かわさき里山コラボ事業とは(川崎市サイトより引用)
多様なステークホルダーに支えられた里山の保全の推進を目指すため、企業・教育機関等の参加協力をいただき、自然環境の維持・再生について研究を進める大学連携事業とは別に、保全管理活動を主とした実践的な里山の保全管理を行います。保全管理活動に先立ち、その里山について、緑の将来像や管理のあり方等をワークショップで検討し、保全管理計画を策定します。
保全管理計画に基づいた里山の保全管理を行うために覚書を締結して、試行期間を経たのち、協定を締結し、企業・教育機関等との協働による継続的な里山保全管理を実施しています。

保全から活用へ。社員のリフレッシュ、コミュニケーション活性化も

企業の森づくりの活動内容は?

水沢特別緑地保全地区

飯田:従来は「竹林整備」のプログラムが中心となっていました。近年は社会貢献や環境配慮に対する企業の意識が高まっているので、企業さんのほうから「緑地で活動できないか」などと問い合わせがあります。特にコロナ明けからは、里山の保全だけでなく“活用面”でのお問い合わせが多くなっています。社員研修の場として使いたい、リフレッシュの場として活用したい、といったご希望です。IT系、販売などの企業さんや教育機関にも関わっていますが、みなさん屋内で仕事をされているので、外に出て身体を動かしたりコミュニケーションをとったりして、いつもとはちょっと違う環境で活動するのがリフレッシュになるようです。

リフレッシュを目的にされている企業さんが多いので、桜を植えて将来的に社員が花見を楽しめるようにとおっしゃる企業も何社かあります。あとは、商品開発の中で紙製品をよく使うので、紙の原料となるミツマタを植えたいといったお話もいただくことがあります。

まいばすけっとさんが植林された苗木が育つ様子

2024年3月に協定を結んだ、まいばすけっとさんの場合は、川崎市宮前区の水沢特別緑地保全地区において、植樹、竹林整備、さらには竹林整備で集めた笹の葉を夢見ヶ崎動物公園へ贈呈するといった今までにないユニークな活動もされています。毎回、活動には10代から50代ぐらいの方が30〜60人程参加。店舗のアルバイトスタッフから本社のインターン、事務方の方など色々な部署や年代の方が参加されて、いつも賑やかで楽しそうです。大勢なので草刈りなどはあっという間に終わります。活動日には市からも必ず誰かがヘルメットとノコギリを持って参加しています。

企業へのPR、働きかけはどのように行っていますか?

飯田:こちらから働きかけるというよりは、問い合わせベースと言いますか、緑政部の他部署の者から紹介を受けてお話を伺うようなことが多いです。協定を始めた頃は、市内企業への働きかけがあったようです。昔のデータを見ると、企業さんへチラシを配ったりもしていたようです。今はSDGsなどもあって企業さんの意識が高まっているので、こちらは対応しきれないぐらいで(笑)

一番大切で大変なのは、地域の方々との関係づくり

楽しかった、苦労したなど心に残っていることがあれば。

飯田:企業さんと一緒に活動していると前向きな考えの方が多くて、ここで得られる以上のエネルギーをいただいたり、向上心に心打たれたりすることが多いです。また、まいばすけっとさんのような「地域に貢献したい!」という想い、地域への還元ということに関しては、「私自身も公務員なのだからそうでなくてはいけない!」と自分自身の胸に刻みました。

住宅に囲まれた緑地(まいばすけっとさんのフィールド)

一番重要であり大変なことは、地域との調整だと思います。川崎市所有の公園緑地で活動するからには、地域の理解や協力が不可欠です。協定締結の前には、これから活動する緑地に隣接する地域の方には、まず市のほうから直接ご自宅に伺って説明をして、「何か懸念することはありますか」とヒアリングを行っています。民有地がまざっている緑地の場合は、持ち主の方々にお手紙を出したり、意向を聞いたり。

また、町内会には必ずお声がけをします。区役所の地域振興課を通して連絡したりすると、安心感があって話が通じやすいです。そこは行政が入ることの大きなメリットだと思います。はじめに市役所や区役所の人間が訪問し、後々企業さんも一緒に、となります。活動を行う企業と地域の方で意見交換会も開催しています。

時には近隣住民の方に「何をするの?」と怪訝な顔をされる場合もあるので、説明の仕方などにはとても気を遣っています。

まいばすけっとさんの例ですが、地域密着の企業さんなので何をするにも地域貢献が一番前に出てきます。放置された藪を刈って、更地にしたところに植林をして、竹林整備で出た笹を地元の動物園に寄付したりして。そういう活動を近所の方が見ていて、「お疲れさま」「今日は何するの?」と声をかけてくれたり、「植林してくれてありがたいね」と言ってくれたりしました。そういう関係性は市としても嬉しいです。

今後は、近隣自治体とも連携していきたい

今後について考えていること、計画などはありますか?

飯田:今後は、市内の緑地の維持管理だけでなく、活用に関しても、企業さん含めさまざまな方と連携していきたいと考えています。その一つとして、他の自治体とも繋がりをもち、提案などを一緒に考えていけたらと思います。企業に参加協力していただいていることもあり、緑地の環境がだんだん良くなってきています。新しく生えてきた植物の観察会を地域に向けて行うなど、地域の方が参加する活動、呼びかけるプログラムも必要だと考えます。

現在市内に残っている里地里山は、エリア的に中原から麻生、宮前、多摩など北部にたくさんあるのですが、斜面地が圧倒的に多いため、企業さんにご紹介できる土地は限られます。でも、緑地は行政区画を超えてつながっているので、近隣の自治体と連携してご紹介する、といった関わりがあっても良いと思います。

Message

森づくりへの参加を考えている企業・団体へ向けて、
一言メッセージをお願いします。

飯田 珠実さん
企業の方々へ。寄付だけでなく自ら活動に取り組むことで、里山管理の大切さや大変さを実感することができ、活動によって地域がどう変わっていくかを見ることもできます。また、ご自身もリフレッシュできて、組織のコミュニケーションづくりにもつながるので、ぜひご参加いただきたいと思っています。
interview07
コーディネーター

森づくり活動を、まずご自身が体験することから始めていただきたい。

公益財団法人かながわトラストみどり財団
豊丸 敏秋 さん 南橋 友香(ゆか) さん 
コーディネーター

里山保全活動で社員のリフレッシュ、コミュニケーションづくり、地域貢献も。

川崎市建設緑政局緑政部 みどり・多摩川協働推進課 協働推進担当
飯田 珠実 さん 
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