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企業の森づくり

事業事例

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森のためにできること  ~カード利用明細書のデジタル化による会員と企業の「三井住友カードの森」~

令和3年度林野庁委託事業「国民参加の森林づくり総合推進事業報告書」より

事業(活動)の内容・仕組み

クレジットカードの月次の利用請求明細書は紙で送っているが、コスト、環境負荷の観点(紙の利 用、配送にかかる環境負荷など)から、三井住友カードは WEB 明細(ペーパーレス)を推進している。 (紙の明細書 1 通*1 を WEB 明細にすることで、ペットボトル 500 本分の体積と同等の CO2(500g)*2 を 削減)
WEB 明細の推進で削減できた分の費用を森林の育成に充てることによって、顧客のデジタル化への協力と森林育成の共創を実現している。
森林育成については 一般社団法人「more trees」と協働し、宮崎県諸塚村、岩手県住田町、長野県小諸市、奈良県天川村、高知県梼原町に「三井住友カードの森」を設置し、森の状態によって植林、除伐、間伐(誘導伐)活動支援を行っている。
また、この「三井住友カードの森」プロジェクトは特設サイト「森のためのできること」を運営することで、より詳細な活動を伝えている。本活動に共感した会員のデジタル化も後押ししている。

本プロジェクトは、それぞれの関係者とのWin-Winの状態を作ることで、関係者全員の共創によって森林育成を行うことを可能にしている。 特徴は、本プロジェクトは寄付だけではなく、マーケティングプロジェクトの一環であり、」会員にしっかりと活動や森林育成の意義を伝え共感の輪を広げることで、三井住友カードのブランド育成・強化につなげるマーケティング目的を掲げている点にある。

  • 会員:デジタル化することにより環境負荷削減に協力、森林育成の重要性の学び
  • 三井住友カード:環境負荷削減、費用削減、森林育成への寄付による環境課題解決、会員との強いエンゲ ージメント(絆)、ブランディング
  • 地域:財政的な支援による森林維持
  • 地球:森林の維持

事業(活動)をはじめた背景・理由・経緯

5,000 万人弱の会員を持つカード会社として、毎月の利用明細書の紙による通知は多大なコストもかかり、また、紙の利用、印刷、利用明細書の各顧客への配送など環境負荷もかかっており、デジタル化を進めることは非常に重要なビジネス・インパクトがあった。三井住友カードはその削減コストの一部を森林育成に充てることで顧客の理解を得るとともに、環境問題に取り組む企業姿勢を打ち出した。

事業(活動)をスタートするまでの経過

三井住友カードはマーケティング部門が CSV 企画に取り組んでおり、タッチハッピープロジェクトなど他の企画でも社会課題解決に積極的。
こうした企業文化の背景もあり、「三井住友カードの森」プロジェクトは多くの社内賛同を得て立ち上がった。森林への寄付というと、一般的には総務や経営企画など本部主導で行われることが多いが、三井住友カードではマーケティング部門が社会課題解決に取り組むという企業文化が醸成されていることが他と異なる点といえる。
企画にあたってはデジタル・マーケティング支援会社(メンバーズ)と一緒に企画、協働する NPO 探 し、交渉を行い、more trees 社をパートナーとして活動することになった。

事業(活動)の成果・効果

事業(活動)の目的は、地域、環境貢献と顧客とのエンゲージメント(絆)強化にあり、地域環境貢献はこのプロジェクトを通じて東京・ニューヨーク間のフライト約 4,500 往復分の CO2 削減効果(more trees による算定)を想定している。会員とのエンゲージメントに関しては、80%を超える会員が WEB 明細に切り替えていることから、第一ステップの賛同は得られたと考える。

今後の展開方向

「三井住友カードの森」で会員が体験できるプログラムを実施し、理解を深める活動をしていきたい。 持続可能な森づくりが目標のため、支援する森の増加はもちろんのこと、森が育つまでの長期的な支援を目指している。

事業の課題

このようなプロジェクトが顧客とのエンゲージメントにどれくらい効果があるか、そしてその結果どのような形でビジネスに寄与できているかの詳細な定量的分析が、プロジェクトの継続性の面でも必要。また、紙での利用明細請求書を発行する場合も、紙自体に FSC 認証紙の利用を推進(現在は技術的な問題で封筒のみ FSC 認証紙利用)するなど、より一層の脱炭素化に向け取り組んでいく必要がある。