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森づくり基礎知識

保険・安全管理

森林は変化に富んだ自然環境であり、特に日本の森は急峻な場合が多く、森づくり活動などにおいては転倒や滑落のリスクがあります。また、枯れ枝の落下、クマやマムシ、ハチなどの出現、ウルシなど毒性植物、天候の急変や山火事など様々な危険が潜んでいます。安全に森の中で活動するためには、各自が細心の注意を払うことはもちろん、参加者の安全を確保するための事前準備、基礎知識の習得、保険への加入など万全な対策が必要です。

危険な生物

ハチ

5,000種あると言われるハチの種類の中で、人を刺すのはスズメバチ、アシナガバチなど20種ほど。種類によって毒性も攻撃性も異なりますが、刺された場合の症状にも個人差があります。ハチに刺されると、まず激しい痛みがあり、赤く腫れます。じんましんや腹痛、気分が悪いなどの症状がある場合は、すぐに救急車を呼んでください。また、過去に「アナフィラキシーショック」を起こした経験のある人が刺された場合も、直ちに救急車を呼んでください。毎年死亡事故が報告されています。

ハチ刺されの応急処置

  1. 針が刺さったままになっている場合は、すぐに取り除きます。
  2. 次にポイズンリムーバーで毒を吸い出し、冷水で洗浄します。
  3. 患部には、抗ヒスタミン軟膏を塗って冷やします。
  4. 毒が回らないよう、安全な場所で静かに横になり、様子を見てください。
  5. 時間が経ってひどくなるようなら医療機関を受診します

ハチに刺されないためには

  • 巣に近づかない(特に7月から10月は危険)
  • 黒い服を着ない、肌を露出しない
  • 香料を含んだ化粧品を使わない
  • ハチが近くにいたら、振り払うなどの素早い動きをしない(ハチを刺激します)

クマ

近年、ツキノワグマやヒグマによる人身被害報告が増加しています。過疎化して人が通わなくなった中山間地の里山で、クリやコナラ、柿などを餌として個体数を増しているのではないかとのこと。クマは本来臆病な動物で、人間がいると先にわかれば自ら去っていきますが、曲がり角などで突然出会ってしまったり、空腹時や親子連れの状況では攻撃的になるため、大変危険です。中には、「人間は怖くない」と学習している個体も出てきているかもしれないと言われていますから、とにかく遭遇しないように気をつけることが重要です。

クマに遭遇しないために

  • 森の中での単独行動を避け、鈴を鳴らしたり、ラジオをかけたりして、こちらの存在を知らせながら歩く。
  • 新しいクマの糞や足跡、爪痕をみつけたら、その場所から離れる
  • 匂いのする食べ物を放置しない(持ち歩く際には、容器に密閉して匂いの出ないようにする)
  • 朝夕のクマが活発に活動する時間帯に森に入らないようにする。
  • 子グマを見つけたら近くに親がいるので、急いでその場から離れる

万一クマに遭遇してしまったら

  • 遠くにクマの姿を見つけた場合は、静かに立ち去る。
  • 50mほどの距離で遭遇した場合は、腕を大きく振るなどして、こちらの存在を知らせてクマに逃げてもらう。逃げないようなら、クマから目をそらさずにゆっくりと後退する。
  • 20m以内で遭遇した場合は、大声を出さずに、クマから目線をそらさず、腕を大きく振るなどして体を大きく見せながら、ゆっくりと後退する。山林ならば、突進を防ぐために、木を挟むようにする。
  • それでも接近してきて逃げ場がないなら、威嚇に切り替え、大声やクマの嫌いな金属音などを出す。
  • 熊よけスプレーをもっていれば、クマの鼻を狙って噴射する。
  • 他に何も術がなければ、両腕で頭を抱えるようにして頭部を守り、うつ伏せになって腹部を守る。

道具類を安全に使うために

森づくり作業では、スコップやシャベル、ノコギリ、ナタ、カマ、剪定バサミなどの手道具や、チェーンソー、刈払機などの動力機械を使います。ちょっとした不注意で自分や周りの人を傷つけてしまう可能性があるので、森づくり活動の初心者には道具の使い方についてはじめによく説明し、指導者の立ち会いのもと、参加者自身が気をつけるよう促してください。また、作業後のメンテナンス、使用前のチェックなども忘れずに行います。

スコップ・シャベル

事故につながるイメージがないかもしれませんが、長さと重量があり、刃先を削ってある種類もあるので、振り回すと危険です。他の人や子供にぶつけないよう周囲に注意しましょう。

ノコギリ・ナタ・カマ・剪定バサミ

刃物の不具合は事故につながります。使っていてぐらついていたり、よく切れなかったりする場合には、メンテし、その場で治らないときは他のものと取り替えてください。慣れない人がノコギリやカマなどを使うと、力が入りすぎて、勢い余って自分の手足にあたってしまうことがあります。無理をせず落ち着いて作業にあたりましょう。作業中に一時的に置いて置く場合には、他の人が誤って踏まないよう、置き場所に注意してください。また、使い終わったらブラシなどを使って汚れをよく落とし、濡れていればよく乾かしてからケースに入れて保管します。

チェンソー・刈払機

手道具に比べて事故になったときの被害が深刻なので、まずは手道具に使い慣れてから、安全講習などを受けた上、森林組合や林業事業者など熟練者同伴のもとで使い始めるようにしてください。
作業中は、木くずや草が高速で飛散しているだけでなく、刃が岩や金属などにあたって刃が破損して飛ぶことがあります。さらには、「キックバック」と言われる現象で機械が思わぬ方向に飛ばされることがありますので、作業中、周りの人は動力機械から必ず5メートル以上離れるようにしてください。

安全管理チェックシート

森林体験学習活動・森づくり作業 安全管理チェックシート(国土緑化推進機構)

「森林体験学習活動・森づくり作業/安全管理チェックシート」より
「場所の下見」時のチェック項目を抜粋

※詳しくは、上記チェックシートをダウンロードしてご確認ください。

  • 実施日における交通機関ダイヤを確認していますか
  • 集合場所はわかりやすい、かつ安全な場所となっていますか
  • 案内地図と現地の状況は一致していますか
  • 休憩施設や休憩地点は、安全な場所となっていますか
  • スズメバチ、マムシ、クマなどの危険な動物の有無を確認していますか
  • ウルシ、ハゼノキなどのかぶれる毒性の強い植物の有無を確認していますか
  • 野生動物による農作物・林業被害防止等のための狩猟活動や罠の仕掛け、電気柵の有無を確認していますか
  • 活動プログラムの所要時間を確認していますか
  • 携帯電話の通話範囲を確認していますか
  • 無線を使う場合、電波の交信状態を確認していますか
  • 水の補給地点を確認していますか
  • 避難施設を確認していますか
  • エスケープルートを確認していますか
  • 活動を行うための十分な広さが確保されていますか
  • トイレの所在とその使用状況を確認していますか
  • 臨時のトイレを設置する場合、その場所を決めていますか
  • 最寄りの救急病院、診療所などの医療施設を確認していますか
  • 地元の関係機関(役場、警察、消防署など)に届け出ていますか
  • 救命、救急連絡先(電話番号など)を確認していますか
  • 活動場所の管理者又は所有者の使用許可をもらっていますか
  • 火を使用する場合、他に燃え広がらない場所となっていますか
  • 案内板、道標などの案内施設は正しく表示されていますか
  • 山歩きの場合、迷いやすい分岐路やけもの道などを確認していますか
  • 保安施設(杭、柵、ロ一プなど)に異常はありませんか
  • 落石、崩落、雪崩などの危険性などについて確認していますか
  • 倒木、枯れ木、落枝などの危険性などについて確認していますか

保険

グリーンボランティア保険(森づくりフォーラム)

施業ガイドライン

森林施業ガイドライン(森づくりフォーラム)

森林所有者に代わって、森林を保全し未来世代につなぐ森づくりを行うには、しっかりとした森林の"将来像"を描くことが大切です。そのような森づくり活動をサポートするために、NPO法人森づくりフォーラムが作成した、具体的な目標づくりと計画づくりを進めるためのガイドラインをご参考ください。

配布可能な資料

みどりのボランティアあんぜん手帳

森林ボランティア必携の安全ミニガイドブック。「安全のための11ヶ条」など心得から、服装・持ち物、危険な動植物、森での基本動作、ケガの応急処置、道具の使い方、森林整備作業の基本まで。イラスト入りで簡潔に説明されています。胸ポケットに入るサイズなので、森に入るとき携帯しておくと色々な場面で役立ちそうです。

ポケット版 72ページ
1部 660円(税込)